本とモノ・コト・ヒトリゴト ☆ アラフォー仙人のんびり日記

☆ ほのぼの図書館 ☆ 住人 カジユアの日記です。本を読んでふと思い立つアレコレ。そんな瞬間が好きです。

きつね考

こんにちは。

ほのぼの図書館の

カジユアです。

 

唐突ですが、皆さんは「きつね」と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?

狡猾、トリックスター、北国、かわいい…などなどですかね?

 

先日、動物関連のTV番組で

日本各地で靴がなくなるという事件を追っていました。

犯人はキツネ。夜間、人々が寝静まったころ現れて、靴をくわえていく。

隠しカメラに映るその姿に、ずる賢さや執念深さを感じました。

しかし、それは、母キツネの子への愛情による行動の場合もあったようです。

ですので、スタジオにいる若い男性は、

「責められないですね」とコメントしていました。

その優しい言葉に、カジユアもじんわりきてしまって。

 

もちろん、何足も靴を持っていかれるなんて、嫌ですよね。

早く買いなおさないと、出かけることもできないですし、

買いに行くための靴も、とられたりしていたら…。

住民の方々は大変苦労されていると思います。

 

もしかしたら、太古の昔から人々は狐の仕業に

悩まされてきたのかもしれません。

日本の昔話の世界では、

キツネは、ずる賢くて悪事をはたらくことが多い。

そして、最後に罰をうけるというオチがあります。

 

「きつねのさかなつり」などですね。

似たような話でも、各地で内容が細かく違う点もありそうです。

 

だましていたつもりが、自分がだまされていた、みたいなお話もありますね。

あとは、たぬきとの化かし合いとか。

 

ところが、現代には

『手袋を買いに』『ごん狐』(新美南吉)とか

『きつねのかみさま』(あまんきみこ

のようなお話もあります。

子供の頃に一度は

読んだことがあるのではないか

と思います。

 

特に新美南吉さんの『ごん狐』については、

授業で狐やら猟師やらの心情を

ひたすら考えるような授業がありましたよね。

ある世代から後の人には、

誰にでも経験あるのではないでしょうか。

長かったよね笑

 

このあたりのことも、

動物番組における若者の

心優しいコメントの背景として

無意識にあったりして。

『ごん狐』は、劇でやる場合もありますし。

 

あまんきみこさんの作品にも

キツネがよくでてきます。

狡猾な姿ではなく、なんともいえない哀しみや愛しさも残ります。

人間とは何なんだ~なんてところまで、いってしまいます。

 

また、昔のTVドラマ『北の国から』のなかに出てくるキツネと、

少女の距離感。それは、哀しい事件の伏線を担うように、

はかなく繊細に描かれます。

 

 

なので、キツネというと、

親子愛、とか、(とても繊細な距離感の)暖かい交流も

イメージとしてあるように思います。

 

他にも、子狐がでてくる動物映画などもあり、

かわいい!というイメージもあるかもしれない。

 

長い歴史の中で、たくさんのお話の中に、

人間の姿との映し鏡のように現れてくる狐。

人間の興味をひきつけ続ける狐。

稲荷信仰にいたっては、神(あるいは神使)として認識される狐…。

 

 

ところ変わって、

フランスの『狐物語』における狐くんはどうでしょう。

ルナールは本当に悪い子。

魚をたくさん積んだ荷車がきたら死んだふり。

荷車のおじさんは皮を売ろうと「死体」を車にのせる。

ルナールは、車の中でおなかいっぱい魚を食べる。

その他もろもろ、むきだしの悪意を持って世を渡る。

そして、反対にだまされることもあるという、滑稽味。

このお話が中世フランスに誕生したという不思議。

宗教を背景に、ギチギチの精神的規範が網の目のように

張り巡らされた時代において、

ルナールは、価値観をゆさぶるトリックスターのようです。

 

* * * ☆ ☆ ☆ * * *

 

ルノルマンカードと呼ばれる占いカードにおいても

「狐」のカードがあります。

その象意はやはり、狡猾さ(計画)、詐欺などです。

良い意味の場合は、利口、事業家などです。

1枚のカードに、違う意味が何個もあって

解釈に苦労するのではないかと

思われるかもしれませんね。

 

ルノルマンカードは、何枚ものカードの組み合わせを見て

瞬時に物語を構築しながら人の運命の指標を示すものです。

例えば、「狐」が「クローバー」の近くに出ている場合は、

「革新的アイデアで成功に至る」

という意味です。

 

  参考:『ラーニング・ルノルマン』マーカス・カッツ タリ・グッドウィン著

                  伊泉隆一ほか 訳  発行:フォーテュナ  

 

もしも、「自分」を表すカードの近くに

「狐」がどうしてもつきまとうようなら、

他者警戒の必要性という意味もあるかもしれませんが

もしかしたら、自分が自分をだましているのかもしれません。

 

また、日本的には、狐が出た場合、

距離感のある繊細な関係、子どもへの想い

という象意もあるのではないかな

なんて、想像をふくらませています。

まあ、実際は母狐が子離れするときは

子狐にとって、結構怖いみたいですけどね。

 

ちなみに、

「魚」のカードが資産とお金を表すというのも

古今東西のお話を読むと、うなずけます。

富の象徴なのですね。